顧客管理が続かない店は、だいたいキャストに入力させている
顧客管理ツールを入れたのに3週間で止まった。原因はツールの機能ではなく、入力する人を間違えていることが多いです。誰が記録するかで運用の寿命が変わる理由を整理します。
顧客管理のツールを入れた。最初の週はみんな入力していた。3週目にはほとんど空欄になっていた。
この話は、ツールを変えても繰り返されます。使いにくかったから、機能が足りなかったから、と原因を探しがちですが、止まった店を並べてみると共通しているのは「キャストに入力させていた」という一点です。
入力を頼む相手を間違えている
顧客の情報を一番よく知っているのはキャストです。だから記録もキャストにやってもらうのが自然に見えます。実際、導入の説明はたいていこう始まります。
「お客様の情報は、担当のキャストが入力してください」
ここで運用の寿命が決まります。
キャストにとって、入力は自分の仕事ではありません。接客が仕事で、記録は店の都合です。もちろん本人が必要だと感じて書く人もいますが、それは個人差であって仕組みではない。個人差に依存した運用は、その人が辞めた日に止まります。
さらに、入力してもらうにはアカウントを配る必要があります。全員分の招待、ログインできない人の対応、辞めた人の停止。記録を始める前に、アカウントの管理という仕事が増えます。
「入力する人」を1人にすると止まらない
続いている店に共通しているのは、入力する人が絞られていることです。
- 店長、あるいはその日の責任者が1人
- 閉店後に、その日の分だけまとめて
- キャストはアカウントすら持っていない
これだと情報の質が落ちるのではないか、と思われるかもしれません。実際には逆のことが起きます。
キャスト全員に入力させると、書く人と書かない人ができて、データが虫食いになります。 虫食いのデータは、見ても判断できない。見ないデータは、やがて誰も更新しなくなる。
責任者が1人でつけると、粗くても全員分が同じ粒度で揃います。 揃ったデータは読めるので、読まれる。読まれるから続く。
「覚えている範囲でいい」が正しい
1人でつけるなら、当然、その人が見ていない情報は書けません。それでいいのか、という話になります。
結論から言うと、それで足りることがほとんどです。閉店後に残す価値がある情報は、実はかなり少ない。
- 誰が来たか
- いつ来たか
- 担当は誰だったか
- 次に何をするか(連絡する/しない、予約の話が出た、など)
この4つが揃っていれば、「前回いつ来たか」「そろそろ連絡したほうがいい人は誰か」は判断できます。逆に、会話の詳細や好みの銘柄を全部書こうとすると、書く量が増えて3日で止まります。
判断の順序
ツールを検討するとき、機能一覧を比べる前に決めておくことが2つあります。
1つめ: 誰が入力するか
店長が1人でやるのか、全員でやるのか。全員でやると決めるなら、アカウント配布と入れ替わりの手間を運用コストとして数えておく必要があります。
2つめ: 1件あたり何秒か
1件の記録に1分かかるなら、20人来た日は20分です。閉店後の20分は現実的ではありません。名前だけで保存できて、あとから足せる形になっているかを見てください。
機能の多さは、この2つの後に見る話です。入力する人が決まっていない店に、どのツールを入れても結果は同じになります。
Neonaの場合
参考までに、私たちが作っているNeonaでは、来店の記録は店舗アカウントの画面から行います。キャスト用のアカウントを配らなくても運用を始められます。
記録フォームで必須なのは顧客名だけで、来店日時やメモは任意です。ダッシュボードのボタンから開いて、名前を入れて保存する、という流れになっています。
これは「キャストに入力させない」という前提から逆算した設計です。機能として多いわけではありませんが、止まらない運用の条件は機能の数ではないというのが、ここまでの整理です。