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辞める兆候は、面談では出てこない

面談をしているのに、突然辞められる。この現象は担当者の力量の問題ではありません。面談が「詰める場」になっている限り、本音が出ない構造を整理します。


「ちゃんと面談もしていたのに、突然辞めると言われた」

店長やマネージャーから、よく聞く話です。

先週も話した。特に変わった様子はなかった。「大丈夫です」と言っていた。それなのに、次の週にLINEで退店の連絡が来る。

兆候がなかったわけではありません。面談では出てこなかっただけです。

01

面談が「確認の場」になっていないか

多くの店で、面談はこういう構成になっています。

  • 今月の売上、指名本数の確認
  • 出勤日数と遅刻の確認
  • 目標に届いていない場合、その理由
  • 次の月の目標

これは面談ではなく、進捗確認です。そして進捗確認の場では、話す側は必ず防御に回ります。

自分の数字が足りない状況で、正直に困りごとを話す人はいません。「客層が合わない」「あの先輩とシフトが被るのがつらい」と言えば、言い訳と受け取られる可能性がある。だから「頑張ります」と答える。

その結果、面談を重ねるほど本音が遠ざかります。

02

数字を詰めても、数字は動かない

もう一つ、構造的な問題があります。

品質管理の分野に大きな影響を与えたW・エドワーズ・デミングは、業務上の問題の大半は、働く個人ではなくシステムの側に原因があるという考え方を示しました。個人にノルマを課して詰めても、システムが変わらなければ結果は変わらない、という立場です。

これを店に当てはめると、こうなります。

  • 指名が取れないのは、本人の努力不足だけが原因か
  • そのキャストが入っている曜日は、そもそも客足が薄くないか
  • 新人が来店客に紹介される機会は、公平に回っているか
  • 前の担当が辞めた客が、放置されたままになっていないか

これらは全部、本人の外側にあります。 本人を詰めても解決しません。

そして本人も、それが分かっています。だから「頑張ります」以外に言いようがない。頑張りが足りないという前提に立った質問には、頑張りますとしか答えられません。

個人の努力で解決できない問題を、個人に持ち帰らせる。これが面談で最も起きやすい失敗です。
03

1on1をそのまま持ち込むと失敗する

近年、企業の現場では1on1という手法が広まりました。上司と部下が定期的に短い面談を行い、業務報告ではなく本人の状態や課題に焦点を当てるものです。日本では大手IT企業の導入をきっかけに知られるようになりました。

考え方としては有効です。ただしそのままナイトワークに持ち込むと、まず続きません。

環境が違いすぎるからです。

週1回・30分・会議室で・全員と実施する
月1回・10分・営業前に・話せるときに
キャリアプランと成長目標を話し合う
今の働き方で困っていることだけ聞く

出勤が不定期で、雇用形態も一律ではなく、全員が揃う日がない。この条件で週1・30分は設計として無理があります。形式を真似ると、実施できない月が出て、そのまま自然消滅します。

大事なのは頻度でも時間でもなく、何を話す場かが決まっていることです。

04

話す割合を、先に決めておく

実務として一番効くのは、この一点です。

面談の時間の8割を、相手が話す。

これを決めておくだけで、場の性質が変わります。数字を確認する場では、店側が7割話すことになる。逆にすると、確認の話ができなくなるからです。

そして「困っていることはある?」と聞いて「特にないです」と返ってきたとき、そこで終わらせないことが重要です。 沈黙を埋めようとせず、少し待つ。多くの場合、本題は最初の答えの後に出てきます。

聞き方も変わります。

  • 「なんで指名が取れてないと思う?」→ 原因を本人に求めている
  • 「最近、やりにくいと感じることある?」→ 環境の話をしていい合図になる

後者の方が、本人の外側にある問題が出てきます。そしてそれこそが、店が実際に手を打てる領域です。

05

辞める前に出てくる、小さな信号

本音が出る場になると、退店の兆候は言葉として現れます。

  1. 1.シフトの相談が減る — 相談しなくなるのは、先の予定を考えていないサイン
  2. 2.特定の人の話題を避けるようになる — 人間関係の問題が起きている可能性
  3. 3.「最近どう?」への答えが短くなる — 話す気がなくなっている
  4. 4.客の話を具体的にしなくなる — 関係を築く意欲が落ちている

どれも数字には出ません。面談でしか拾えない情報です。 そして詰める場になっていれば、どれも出てきません。

特に4番は、実は最も早く現れます。以前は「〇〇さんが昇進したらしくて」と具体的に話していた人が、「普通です」としか言わなくなる。この変化は、売上に反映されるより数ヶ月早く起きます。

06

面談の内容は、記録する

最後に実務的な話を1つ。

面談で聞いたことは、記録に残すべきです。

理由は2つあります。

  1. 1.前回何を話したかを覚えていないと、次の面談が繰り返しになる — 「前に言ってた件どうなった」と聞けるかどうかで、話す側の姿勢が変わります
  2. 2.担当者が変わっても引き継げる — 店長が交代したとき、全員分の状況がゼロに戻るのは大きな損失です

これは顧客の記録とまったく同じ構造です。覚えていてくれる、と感じるのはお客様だけではありません。

まとめ

  • 面談で兆候が出ないのは、面談が「詰める場」になっているから
  • 問題の多くは本人の外側にあり、個人を詰めても動かない
  • 1on1の形式をそのまま持ち込むと、実施できずに消滅する
  • 決めるべきは頻度ではなく、何を話す場かと、話す割合
  • 退店の兆候は数字より先に、言葉と態度に現れる
  • 面談の内容も、顧客の記録と同じように残す価値がある

Neona は、来店・接客・接点の記録を蓄積する店舗運営 OS です。誰がどの顧客を担当し、記録がどれくらい続いているかが見えるため、数字に出る前の変化に気づく材料になります。キャストの利用は無料です。

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